自分の身体をリスペクトするということ

整体の仕事をしてると、
一年の365日は体のことを考えています。

よくよく考えるとかなり特殊なことで、
だんだん考え方が一般の人とは変わってきます。

一般的な解剖学があまり好きではなく、
比較解剖学が好きなので、人間の体というより、
進化の中で生物の体がどうかわっていったかという着眼点が好みです。

哺乳類の中でも、人間は直立するようになってから、大脳が異様に発達しました。
そこで、自我というものが生まれます。

「自分」というやつです。

よく、
「自分の体は自分が一番よくわかっている」

という人がいますが、そんなことはない。
毎日睡眠という形で、意識不明になっていて、
その間も体は休むことなく動いているのに、

「自分の体は自分が一番よくわかっている」はない。

むしろ、

「自分の体は自分が一番よくわからない」

ということを認識することが大切。

身体という複雑で玄妙な機構のうえに、自分という意識がちょこんとのっているだけ、
というほうが現実に近いのではないかと思います。

社会が複雑化して、人のやることが多くなると、
体の声を聞く時間もなくなってくる。

だから、それに対する警告として体が痛みという信号を送ってくる。

そういう意味において、
人の体が治るということ自体がないんだなということに気づきます。

整体というのは、断絶してしまった、
”身体という自然”と”現代人の凝り固まった意識”とを再び繋げるお手伝いをすることなのだなと思います。